クラニオ整体では痛みやつらさのある部分のみを施術するのではなく、全身から症状を捉えて歪みを整える施術を行っております。
それは、痛みやつらさがある部分は、必ずしも原因とは限らず、全身のバランスが崩れて歪んだ結果として、そこに過負荷が掛り、症状を出している場合が多いからです。
先日、施術で足元から背骨、頭頂まで刺激を入れていると、患者さんがこんなふうに表現されました。
「今まで左側が痛い、痛い、と思って、悪い左側ばかり意識していたけれど、自分の右側がちゃんとあるってことを思い出しました。
しかも、右側は一つにまとまっている感じだけれど、左側は痛いところまでで止まっている。つながっていないのが良くわかります。」
「右側もちゃんと自分の身体なんだと、意識してあげないといけないんですね。」
この患者さんの気づきは、とても大きな示唆を与えてくださっています。
私たちは痛みやつらさがあると、そこに意識が集中し、他の健康的な部分、うまく機能している部分の存在を忘れてしまいます。
痛みやつらさは身体全体からすれば、ほんの一部なのに、それに全身が大きく影響され、動きや思考、感情、感覚が痛みとつらさで支配されてしまいます。
とくに、長年痛みや不調、つらさが続いてきた場合には、痛みやつらさと同一化してしまっている場合もあるでしょう(私も長年この状態で苦しみました・・)
勿論、痛みやつらさの感覚は、身体と心に何か問題が起こってることを知らせてくれている、大切なシグナルですから、無視したり、痛みだけを取り除こうとすることはよくありません。
問題なのは、痛みやつらさの感覚だけに意識が集中しすぎてしまい、それに支配され、痛みやつらさが増幅し、固定化してしまうことです。
そこで、痛みやつらさを解消するには、慣れてしまった痛みやつらさの以外の、心地よさやゆるむ感じ、全身がつながっている感覚などを味わっていくと、身体は安心して元にもどろうとする機能が作用しだし、バランスが整っていきます。
結果として痛みやつらさはいつの間にか軽減したり、感じなくなっていきます。
この方法は、日常生活にも生かすことができるでしょう。
普段、私たちは当たり前のように行えていること、うまくいっていることをほとんど意識することはありません。
痛みや不具合はあるかもしれないけれども、自分の力で動けること。
ご飯を食べられ、仕事や家事ができること。
雨露しのげる家があり、暮らしていけること。
傷ができればいつの間にか治っていること。
心臓や脳は24時間休みなく働いてくれ、呼吸もずっとできている。
たとえ悩みやストレスがあったとしても、また次の日を迎えることができる。
一つひとつ数えあげたらきりがないぐらい、日々身体や社会は機能してくれています。
しかし、何かトラブルがあったり、上手くいかないことがあると、そこに意識が集中し、それが自分の人生を占めてしまい、時には良くないことがすべてであるかのように感じてしまうことがあります。
でも、人生全体から俯瞰したとき、ほとんどのことは、たとえ一見良くないように思えたとしても、実は多くのことは上手くいっているのです。
悩みや問題があって、行き詰ってしまったとき、そこに意識を集中しすぎず、上手くいっていることにも思いを馳せてみると、ふっと解決の糸口が見えてくるかもしれません。
全身がつながっている感覚は、身体とこころが一つになり、本来の自分を取り戻していきます。
そして、色んな人とのつながりや、身体が機能してくれていることを感じられたとき、感謝の気持ちが自然と湧いてくるような気がします。