私は月曜日の夜に、NHKで放送される「プロフェッショナル」という番組が好きでよく見ます。
プロに徹した方達の仕事ぶりや、生き方、考え方を見るたび、感銘を受けるとともに、自分自身のあり方を振り返り、身が引き締まる思いがします。
プロとはなにか?という要素の中で、特に私が心ひかれるのが、仕事に「思いを込める」ということです。
前回は羽田空港で清掃員をされている女性でした。お客様が快適に利用してくださるよう、見えないところにまで心をくばり、ひたすらに掃除をする姿と、どんな汚れでも完璧に落とす、というプロ意識。頑固な汚れがきれいになったときの満面の笑顔は、仕事を心から楽しみ、やりがいを感じて充実している、素晴らしいお人柄がにじみでていました。
さらに感銘を受けたのは、
「誰がきれいにしたか?ということではないと思うんです。個人の名前なんてどうでもいい。ここがきれいで、それをお客さんが快適だと思ってもらえればそれでいいと思うんです。」
自分の仕事ぶりを、個人的にほめられずとも、お客さんが快適に利用できればそれでいい。人が気づくようにする「サービス」は自分の行為を相手に認められやすいけれど、陰ながらにして相手のことを思い、心を込めて行う仕事。
まさに「おもてなし」の精神。
また、前々回の放送では、名古屋のかけはぎ職人さんの仕事ぶりをみました。
時代と共に様々な繊維が開発され、それに伴い技術を磨いてきたこと。それまでの技術では治せくて、断るしかなかった仕事に、正面から向き合って一つ一つ難題を突破していかれたのでした。
できない、という仕事にもぶつかっていかなくては、技術は上がらない、という信念。
失敗するかもしれない、というリスクを背負っても、お客さんのために、真剣に向き合う姿勢。それが新しい技術を身につけ、お客様の信用を得ていかれたのでした。
その中で、あるお客様から持ち込まれた、何十年も前のボロボロのセーター。
いくらかかってもいいから、治してほしい、という依頼に、よほどの思いを感じ取った職人さん。左腕だけがほころびが激しいのをみて、何か左腕を特別に使わなくてはならない事情があるのだ、ということまでも察して、長く快適に使えるようにと、補強を施しておく心配り。
ここにもお客様のためにと、陰ながら心を込めた仕事ぶりがありました。
私も、患者様のお身体を拝見すると、その方の日常生活での動作のくせや、姿勢、過去の傷や痛み、さらにはその方の感じ方、考え方などが見えて来ます。
身体には、今までその方が生きてこられた「歴史」が如実に現れています。
私はそれらを感じ取りながら、その方がどうしたら自然に、楽に、快適になれるのかを探りながら施術をしています。
頑張ってこられたこと。時には自信を無くしたり、自分を見失ってしまったり、焦ったり不安になったり、迷いで困惑したり。
その方の生き様に思いを馳せながら施術をしていると、身体がふ~っと緩む瞬間があります。
身体が「そうそう、やっとわかってもらえた。気づいてもらえた!」といっているように感じます。そんな時は身体の深い部分と対話できたようで、何かつながれたような気がします。
きれいに治ったセーターを見て、涙を流して喜んでいたお客さん。
私も、これまで身体を散々に痛めつけてしまって、負担が掛りすぎている患者さんを目の当たりにしたときに、その方が良くなれるお手伝いができるだろうか?とゆらぐこともありましたが、それでも全力で向き合い、技術を向上させてまいりました。
そんな方たちが、「いままでつらかったけど、良くなって本当に嬉しい」と言ってくださり、笑顔になっていただけたことが自分のことのように嬉しくて、今日まで施術をしてこられました。
これからも、こころを込めた施術を心がけていきたいと思っております。