5年ほど前から私は正座をすると、足の親指の爪が当たって、痛くなりました。
だんだん痛みが常にあるようになり、靴にも当たって歩きづらくなってしまいました。
神楽坂で大変評判のいい、かかりつけの皮膚科の先生に診てもらうと、爪がかなり厚くなっていて、当たると痛いこと、内出血を起こしていることが分かりました。
爪の栄養となる薬と、爪をやわらかくする薬を処方して頂きました。
しばらく薬を飲んでみましたが、あまり状態は変わりませんでした。
そんなとき、テレビで神楽坂にある、爪専門の先生を見て、一度受診してみよう、と思いました。
その先生は、爪の状態がかなり悪いこと、これは難しい病気で、治療の方法がないこと、痛みを我慢しつつ、付き合っていくしかないことを説明されました。
爪の専門の先生に、はっきり断言されてしまい、「私はこの爪と一生つきあっていくしかないのか」と思い、皮膚科の先生に頂いた薬もやめてしまいました。
それからしばらくして、なぜか痛みが気にならなくなり、爪のことを悩まなくなりました。ところが、ここ一か月ぐらいで、また急に爪が痛み出してきました。しかも今回は歩くと爪が動くのが分かり、気持ち悪くて足に力をかけられません。
あわてて、状態だけでも診てもらおう、と皮膚科の先生の所へ飛び込みました。
先生は爪を見るなり、数年前よりかなり状態が悪くなっている、とおっしゃいました。
もうこの爪は一生治らない、と思っていた私は、先生に「この爪は再生するのでしょうか?」とダメ元で聞いてみました。
すると、「80歳の方でも再生していますよ」とのこと。
なにか希望の光がみえた気がしたとき、先生が続けて、
「でもその方はとても真面目な方なんですよ。
何年も薬を飲み続けて、治っても薬をやめないんです。
大勢の患者さんを診てきましたけど、その方のように真面目に薬を飲み続けて治る方達と、悪くなってから来て、薬をのんで、少しよくなったらやめてしまって。またわるくなったら来る。そうやっていつまでも治らない方達とを。
だから言えるんです、ちゃんと治療すれば、この爪は治りますよ」
私は完全に後者の不真面目な患者でした。
いえ、不真面目どころか、端から「私の爪は治らない」と思い込んでいたのでした。
これでは治るはずなどなかったのでした。もし、数年前に皮膚科の先生を信じて、ちゃんと薬を飲み続けていたら、今は治っていたかもしれないのでした。
私も施術でたくさんの患者さんに接してきて、どういう方が健康を取り戻していくのかをこの目でさんざん見てきたのに・・
医者にいっても完全に見放され、治療のしようがなかったり、うまく付き合っていくしかない、と諦めていたり、西洋医学以外の様々な治療を受けても改善されずに、長年苦しんでいたり。歳だから仕方がない、一生このままつらい状態が続くのかと憂鬱になっていたり・・・
そういう方達が、私の施術を受けにはるばる遠方から、痛みやつらい身体で電車に乗って、時には悪天候の中でさえも、みなさん本当に根気よくあきらめないで通ってくださいました。
そんな皆さんの治りたい!という思い、私の施術を何よりも楽しみに、心待ちにしてくださっている思いを受け止め、日々技術を磨き、施術してきた20年でした。
そうして、「治らない」という不安や諦めが、「治る!」という希望に変わり、健康を取り戻していく過程を目の当たりにし、沢山の方の笑顔と喜びをみてきたからこそ、施術する私もたくさんの元気を頂いてきたのに。
何より、自分が20代のころ、どうしようもないほどつらかった状態をなんとかしたくて、必死に先代の治療に通い、治してもらったのに。
自分の爪の治療に関して、私は完全に劣等生の患者でした。(ホントになさけない!)
身体は必ず良くなる、と常々言っている自分が、自分の身体を信じず、皮膚科の先生のことも信じていなかったのでした。
何年かかってもちゃんと治療していきます!と皮膚科の先生に伝え、意識を変え、行動を変えよう!と反省しました。
でも、今回自分が劣等生の患者だったと認識したことで、改めて気づけたことがありました。
それはこれも常々言ってきたことですが、自分の身体を治すのは、自分である、ということ。
身体は治す力があるのに、それが発揮できない何かがあること。
それは、タイミングだったり、縁だったり、環境要因もある。
また、本人が「治らない」と思い込んでいたり、さらには「治りたくない」何かがある場合もある、ということ。
それらを再認識できて、今後の教訓としよう!とプラスにとらえ、今回のことにも大きな学びがあったことに、感謝感謝!!