身体には元々身体を快適な状態に保とうとする働きがあります。
この「自己調整力」が健康を保つ上で何より欠かせません。この自己調整力を高めていくにはどうすればいいのか、順に見ていきたいと思います。
心と身体は「快」を感じることで元に戻る
私たちは、辛いこと、苦しいことがあった時、我慢したり、がんばって克服することが大切だと教えられてきました。また身体のバランス調整や、多くの治療は、痛みや不快な部分を探しだし、そこに力を掛けたり、矯正しようとする方法が多くみられます。しかし、身体は必要があって症状を出しています。
我慢して耐える、無理に伸ばす、不快な方に動かす、無理に症状を抑え込むということをすると、身体は逆に反発します。
身体は楽に無理なく動ける方へ行くこと、ここちよさを感じることで、リラックスし、元に戻るという性質があります。
また、心理療法においても、過去の辛かった体験や、その時の感情を思い出し、表現して解放する、という方法もとられています。
確かに過去を整理し、気持ちを解放することは大切なことですが、何度も繰り返し追体験することになると、いつまでもそこにこだわってしまうことも少なくありません。
心も、楽しい、嬉しい、面白いなど、「快」感情を感じ、その方向に素直に向かっていくことによって、バランスを取り戻し、本来の自分に戻ることができます。
痛みや不調は大切な情報
痛みや不調はつらいものですし、なんとかこれを取り除いて快適な状態になりたい、と思うのは当然のことです。多くの治療法や、手技療法は痛みや不調を取ることを目的にしています。
しかし、クラニオ整体では痛みや不調を悪者として捉えて単に排除しようとするのではなく、身体を快適に保つ為に大切なメッセージを伝えてくれる重要な情報と捉えます。
したがって、痛みや不調などの症状だけをとることを目的としていません。
例えば、建物の火災報知器が鳴った、とします。その警報に従って、火災現場をつきとめ、消火活動をすることで問題を解決することができます。痛みや不調は、この火災報知器のように、心と身体に何かが起こっていることを教えてくれる「警報」です。
と同時に、身体はその時すでに自身で問題を修復するよう、働いています。
警報を鳴らしつつ、消火活動をして、壊れた組織を治そうとしています。
(実際には身体は傷を修復するときには、消火ではなく、逆に発熱して治します)それが身体の持っている自己治癒力です。
しかしもしその時、痛みや不調を悪いものだと誤解して、「警報」だけを止めてしまったらどうなるでしょうか?
身体の自己治癒力が阻害され、さらには自身の生命力が低下していくことにもなりかねません。
痛みや不調という心と身体からのメッセージに耳を傾け、バランスを崩した根本原因を探り、それを改善していくことで、身体の自己治癒力が発揮され、身体が自らを修復します。
そうなれば痛みや不調は役目を終え、結果的に消失してくれます。
感覚を大切にする
心と身体に何らかのストレスが掛ると、不快な感覚が生じます。その時、身体は歪み、違和感が生じます。さらに負担が掛り続けていくと、歪みが増幅し、痛みや不調などの機能異常が生じていきます。さらにそのままストレス状態が続くと、病気へと移行していきます。
不快な状態を感じた時点では、身体からのメッセージは微妙で、軽度かもしれません。この時点で不快を回避してバランスを取り直すことができれば身体は回復しますが、それを軽視し、無理を重ねたり、我慢していると、身体は痛みや不調をさらに強くして、異変に気付くようメッセージを発し続けます。
長期間に渡って、我慢や無理を重ねると、心と身体からの「快」「不快」という情報を感じ取る「センサー」が鈍っていきます。そうなると、自分の指針がずれてしまい、状況は悪循環に入っていきます。
異変に気づいて、対処する力、それはご自身の感覚を大切にする、感覚を感じ取ることです。心と身体からの「快」「不快」情報の意味、メッセージを的確に聞き取り、バランスをとることで、健康を保つことができます。
クラニオ整体では、施術を通して、鈍ってしまったセンサーの働きを回復させ、ご本人の感覚を目覚めさせることを目指しています。
そして、身体が元々持っている力で回復できるようお手伝いをしていきます。
それがご自身が自律的に、快適に生きる上での根幹だと考えるからです。
自分の身体の声を聴き、病気を自分で予防し、バランスを回復できるようになるお手伝いをさせて頂ければと思います。
身体の要求に委ねる
心と身体の感覚を大切にしていくと、身体がどうしたいのか、どう動きたいのかが感じられるようになっていきます。
その時、頭で考えたり、抑制することを一端止め、身体の動きに身を委ねてみると、身体が自由に動き出したり、ある姿勢をとったりと、自然に動きが出てきます。
これは、普段私たちは心と身体をコントロールしながら動いたり、姿勢を保持したりしているのですが、身体に完全に任せてみると、バランスを自ら回復させようとする動きが、身体には元々備わっていることが分かります。
この自発的な「自働整体運動」は、身体が自ら歪みを整え、バランス調整する機能です。
この動きが発現していくと、自らの心の抑圧=抑え込んでいた感情や、身体に無理をかけてきたこと、など気づきを得られ、それを解放することができます。